2016年8月1日月曜日

古いITシステムを捨てるということ

あるITシステムがある。
もう30年前にできたシステムだ。それを置き換えようと大きなプロジェクトが立ち上がる。大抵は失敗してしまう。失敗とは当初想定していた予算、期間をオーバーすることだ。

しかし機能が削られることは滅多にない。(品質が悪いことは、また別の話)

一戸建てに例えて考えてみる。

何十年か前、一戸建てを買ったとする。その後車庫に屋根をつけたり、壁を塗り替えたり、物置をつけたり、家庭菜園のための小さな畑を作ったり、時間をかけて住みやすいようにしてきた。

その後、家も古くなり買い換えることにした。次の家は最初から車庫に屋根は欲しいし、物置は大きいものが付いていて欲しいし、(あるのか知らないが)畑つきのより広い庭が欲しい。

一戸建てだと、お金を出すのは個人なのでお財布に合わせて我慢をするしかないことがある。しかしITシステムは、何十年かの間に積み重なった機能を捨てることができない。システム刷新をする場合にほんの小さな機能をあきらめることもできない。時代も変わり変化した業界についていくためには、その業界にあった、何十年か前とは違ったコンセプトでシステムの根幹を考え直さなければいけない。そのためには従来の機能の大部分を捨てるしかない。

「それでは困る」という人がいる。あの機能も、この機能もこういう理由で必要だ。いや困るなら人間が合わせればいいのだと思う。人間は超柔軟なシステムである。今までのやり方を変えればいいだけだと思う。あるいは我慢すればいいのだと思う。

ここまで書いてみて思ったのが。あれがないと困るという意見は、常に企業の局所的な部門、部署から発信されている。全体をみて判断をする見識、力をもつ情報システム部門(とCIO)は日本はほとんどないのではと思う。

よって「情報システムは企業にとっての力の源である」という考えを持たない限り、日本は企業内の情報化において常に遅れを取るんだろうなと考えた。

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